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と、腰をたゝいてみせた。そこにはまだ一足、紙衣の下からはみ出すやうに、ぶら下つていた。
「さあ、殺せ。――うむ、え、さあ。――え、え」
「どこか悪いですかな」
その住居の端々はしばしにまで行きわたつている潔癖さは、同時に大石正文夫妻の年来の好み、その生活の信条といつた風なものをも漠然と現はしていた。
「ねえ、御苦労なこつた」
「さあ、どうぞ。ずつとお通り下さい」
「徳さん。追鮎は君のといつしよに活かしといてもらはうか――どつこいしよ」
「誰かと思つたよ」
房一は擽くすぐつたさうな顔をしていた。
「おい、やつは所長だぜ。まだ新任で、来たばかりなんだ。――行かう!」
と、房一はひとり言を云つた。
それは正文にかゝりつけの患家だつた。